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政府の規制改革推進会議で現在3対1になっている介護施設の人員配置基準を、段階的に4対1に見直ししていくことが提言されたというニュースがありました
ICTやセンサー、カメラなどを導入することで多くの施設で2対1になっている現状を4対1に引き下げて、人員削減を図るのが狙いだそうです
介護士はそれを無理ゲーと呼ぶ
ただ私は業務プログラムの見直しや人員配置の効率化という点は必要であると思います
日本は少子高齢化で2030年には総人口の1/3が高齢者になる
今のままだと必要な介護を受けられない人も出てくるのではないでしょうか
そのためには業務の効率化をして、今より少ない人員でもサービスの質を落とさず運営できるように準備はしておいた方がいい
注意すべきは主語が介護スタッフにならないということ
主語がスタッフになると『どうやったら楽ができるか』とか、考える方向性がズレてきます
あくまで主はご入居者さんで『この業務を効率化すると外に散歩にお誘いできるようになる』などと考えていくことが前提になります
業務の効率化について考える
💡業務の効率化で言えば例えば生活(介護)記録があります。ご入居者さん一人一人の排泄状況や食事量など1日のご様子の記録のことですが、未だに紙ベースのホームも少なくありません
僕は紙ベースとPCベース、どちらも経験があるのですが
どちらが良いかと言えば、PC一択です
というか今のご時世で記録が紙メインというところが介護施設の常識は世間の非常識と言われる所以だと思ったり思わなかったり・・
生活記録をPC化するメリットはたくさんありますが
まず記録を見返すのが格段に楽。ケアプランの作成時などで紙はペラペラ見返すのが面倒です
PCなら特定の日の入居者さんの記録を見たいと思ったら検索で一発❗️
書類の管理やスペースの確保も、ほぼ必要いらなくなります
月末や月初めの書類整理はけっこう面倒だからね
ただ老人ホームでは年配のスタッフが多数いると思いますので、PCに疎いと返って時間がかかってしまいます。そういった方へのフォローは必須
でも記録を代わりに入力するのはやめましょう。
いつまでたってもPCが上達しませんから。あくまでフォローに徹します
💡インカムも便利だと思います。特にスタッフ一人が複数のフロアを担当する混在型と呼ばれるホームでは、もはや必須であると僕は思う
ご入居者さんによってはスタッフが2名や3名でお手伝いする場面があり、ピッチよりインカムの方がスムーズに連携が取れます
特に転倒などの事故を発見した時に看護師に連絡して、ホーム長に連絡して、スタッフに連絡してというような手間がかかりません。インカムで迅速に全スタッフに周知することが可能
ただ持ち場が決まっているフロア型のホームでは、あまりインカムは活かせなかったですね。というよりインカムを使いたい場面が少なかった
同じフロアだから、よっぽど広くない限り周りのスタッフの動きはわかるので。フロア制ならピッチでも十分だと感じました
💡また記事に書いてあったセンサーについて。どういうセンサーを指しているのか不明ですが、離床センサーのことであるならば安易に導入するのは避けたほうが良いと思います
離床センサーを設置すれば業務が効率化されて、且つ入居者さんの安全を100%保証できるというものではありません
僕の体験談ですが過去に転倒を数回繰り返すと、とりあえずセンサーマットを導入するという習慣がありました
ホームでは床センサーマットが主流で、入居者さんがベッドから起き上がって床に足をつけるとセンサーが感知して、ピッチにコールが届くというもの
複数の入居者さんにセンサーマットを導入していたのですが、そうするとコールがひっきりなしに鳴ります
スタッフは、もうバッタバタ・・・💦
夜間だとスタッフは最低限の人数しかいませんが、そんな中で普通に3つコールが被ったりする
混在型のホームだとエレベーターを使う余裕はないので上へ下へ階段を走ることになります
そういう場面では転倒リスクのより高い方を優先しますから、急いで次の方の所に向かってもすでに転倒されてしまっている事もありました
ご家族の方もセンサーをしているから転倒事故は起きないと思っている方もいるので、そこは事前にきちんと説明しておかないといけません
僕のいたホームでは、ある時期からセンサーマットは身体拘束扱いになりました
切迫 すぐにセンサーをしないと、命の危険がある 非代替 センサーに代わる手段がない 一時 センサーは一時的なもので、それに代わる手段は協議をしていく |
上記の3つの要件が揃わないと、センサーマットは使用しません
そもそも入居者さんだって毎回スタッフが来たら「何か、おかしい」と思いますから
マットを器用に避けて歩かれている方もいて、意味がないということですぐに撤去した例もあります
『居室で一人で歩かれると転ぶリスクが高いからセンサーを敷こう』と安易に考えると、そこで思考が停止する
どうやったら安全に居室内を安全に歩けるかを考えた方が、入居者さんをより深く知るきっかけにもなりますし、そこでの行動がその後のスタッフの経験や財産になります
離床センサーの詳細記事はコチラから
要はPCやインカムやセンサーを導入すれば問題が即時解決できるわけではなく、導入の目的の共有や使い方のレクチャーやルール作りが必要で相応に時間がかかるものです
介護施設の今後を考える
海外の人材の受け入れというのは、今後はマストになっていくのではないでしょうか
介護技術やコミュニケーション・文化の違いなど課題はたくさんありますが、積極的に受け入れてOJTの仕組みを確立できたホームが、サービスの質を維持していけるのだと思います
閉鎖的と揶揄される介護業界も時代の変化に合わせて、柔軟に対応していかないとですね
ただ、一番はいま介護に従事しているスタッフを辞めさせない事だと思います。研修などの費用も決して安くないわけですから
介護職の離職率は他の産業と比べて特筆して高いわけではありません
それでも介護職の平均月収は21万円で、全産業の平均より11万ほど安いと言われています
介護はとてもやりがいのある仕事ではありますが、一方で3K(汚い・きつい・危険)とも言われています
これでは割りに合わないと判断して離れてしまう人もいるでしょう
政府が9000円賃上げと言っていますが、桁を一つ間違えてませんか?
ケアマネが含まれないとか、そういう所もどうにかして欲しいです
こういった課題を解決しないまま人員配置基準を4対1に変えてしまうと
①人手不足で業務負担が増える ②サービスの質が低下して、スタッフの士気も下がる ③スタッフが辞める ④1が増悪する |
という負のスパイラルに陥ってしまうのではないでしょうか
働く人にとっても、そこに住んでいる入居者も誰も幸せにならない
そんな未来が待っているかもしれない
政府が悪いと嘆いていても仕方がありませんが、介護の現状をちゃんと考えてくれているのか疑問には思います
介護施設だけではないですが今後の高齢化に備えて、今から出来ることを考えていった方がいいですね
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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