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愛知県春日井市にある特別養護老人ホームに入所されていた当時81歳の女性が、食べ物を詰まらせて亡くなられるという事故(事件)がありました
お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます
ただ
今回またこのような判決が出たことには落胆しています
過去にも私のブログでは賠償命令の判決がでた裁判を紹介してきました
益田市の老健では女性が転倒し、その後に容態が急変して亡くなられました。判決では施設側の注意義務違反が認定されて益田氏医師会に2200万円の支払いが命じらています
西宮病院では認知症の男性が転倒して重い障害を負ったことに対し、地裁は「転倒する恐れが高いことは予見できた」などとして、約532万円の支払いを命じました
これらの記事を見た多くの介護士は
自分がいる施設でも同じようなことが起きても不思議じゃない
また
介護施設の現状が全く理解されていない
そう思ったのではないでしょうか
このような判決が続けば今後ますます介護士の担い手はいなくなってしまう。低賃金でハイリスクそんな仕事を誰が選びますか!?
事故の詳細はわからないので安易なことは言えませんが、それでも介護施設で働く身としては言わずにいられない
事故の概要
女性は認知症で2019年2月に施設へ入所
同年12月12日午後、食事中に食べ物を喉に詰まらせて心肺停止状態になり、その後に窒息で亡くなられました
判決によると女性は以前から食事をかき込んで食べ、たびたび嘔吐していたことから「吐いた食べ物で窒息する危険性を予見できた」と指摘。女性が食事をする際に職員が目を離したことで死亡したと認定しました
遺族は施設側に3550万円の損害賠償を求めていましたが、名古屋地裁は施設側の注意義務違反を認定して計約1370万円の支払いを命じました
詳細はコチラをご覧ください
春日井市の特養の判決内容を見て私が思うこと
私も過去に食事をかき込んで窒息のリスクがある入居者さんの対応をしたことがあります
その入居者さんはミキサー食なのですが一呼吸を置くこともなく食べ続けて、スタッフが何もしないと5分かからず食べ終えてしまうのではないでしょうか。むせ込んでも、その手を止めることはありません
その方から若い時の話を聞いたことがあるのですが、ずっと医者として働いていて食べる時間がないほど忙しかったそうです。なので早食いは職業病みたいなものなのでしょう
今さら食べ方を改善するのは難しいためスタッフがマンツーマンで見守りして、時々食べる手を制止して咀嚼(そしゃく)してもらうという対応をしていました
この対応で入居者さんが食事を詰まらせたり、強くむせ込まれることは一度もありません
なので早食いの方を詰まらせないようにすることは可能ではあります
ただ当然ではありますが介護施設ではその他にも大勢の入居者さんがいらっしゃり、その方達の見守りは手薄になる
ちなみに介護施設で最も人手が少ない食事の時間帯は朝食だと思います
参考までに私が今までいた施設の担当フロアでは
有料A | 入居者14名に対してスタッフ2名 |
有料B | 入居者34名に対してスタッフ3名 |
特養 | 入居者12名に対してスタッフ2名 |
老健 | 入居者50名に対してスタッフ3名 |
有料Aや特養なら対応はラクなんじゃないかと思われるかもしれませんが・・・
- 他の方の食事介助
- 転倒リスクのある方の対応
- 口腔ケア
- 胃ろうの方のご様子確認
- 食後のトイレ誘導
それらを同時進行しながら特定の入居者さんの食事の見守りを続けるのが、どれだけ困難か
施設側としても事故を減らす努力は必要ですが、100%を求めるのはどうかと思います
今回のような判決が今後も続けば介護施設は挑戦することをやめるのではないでしょうか
介護施設では入居者さんの生活の質(QOL)を向上するために様々な取り組みをしています
- オムツをやめてリハビリパンツにして以前のようにトイレで排泄できるようになる
- 車イスから歩行器に変更して自分の足で歩けるようになる
- 刻みやペースト食から一口大や常食に変更する
これらの目標を達成するために看護師や理学療法士や言語聴覚士などの専門職が連携して対応していきます
ただ
これらを進めていく上で転倒や誤嚥などのリスクは避けて通れません
もしもの時に多額の賠償金が請求される可能性があるとしたら、そういった挑戦をやめる介護施設がでてきても不思議じゃない
以前の記事でも書きましたが
トイレに行くと転倒のリスクがあるからオムツにしましょう
お一人で移動するのは危険だから、必ずスタッフ付き添いで行動しましょう。車椅子なら尚良し
食上げして万が一詰まらせたら危険だから、このままにしましょう。ただし食下げは迅速に
リハビリして歩けるようになったら転倒のリスクが増えるから程々にしましょう
それが将来の介護施設の姿かもしれません
冗談じゃない!!
最後に
過去の判決を見ていると「転倒の危険性を予見できた」とか「窒息の危険性を予見できた」とか・・
予見はできるんですよ
それと事故を100%防げるかは別の話
ましてや国は介護施設の人員配置基準を3:1から4:1に今後引き下げようとしています
事故を100%防ぎたいなら配置基準を1:1にしてもらわないとね
一方で介護士にとっては何十名いるなかの一人の入居者さんだとしても、家族にとってはかけがえのない大切な両親
この手の話があると「だったら家で見ろ」となりがちだけど、それが難しいから施設にお願いしているわけですから。大切な家族を信頼して預けて、そこで事故が起きて突然のお別れになった時の気持ちを考えると・・
とはいえ話が本当に通じない家族もいる
ちょっと上手くまとめることができないのですが
政府の今後の介護施設への方針
介護施設の現状
ご家族が施設に求めること
世間の認知症への理解
これらが噛み合ってないなとつくづく思う
私が介護の仕事を始めた頃に比べ、今は随分と息苦しさを感じるのはこういう所に原因があるのかもしれない
それでも介護の仕事は続けていきたいと思っていますけどね
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