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「事故の対応策をスタッフルームで考えるな。事故現場でやろう」
色々な施設での事故報告書の書き方を知るたびに、僕はそう思う
事故報告書のフォーマットは施設によってマチマチではありますが、事故報告書を書くにあたっての確認すべきポイントは一緒です
例えば転倒・転落事故が起きた時・・
事故報告書の対応策がマンネリ化していませんか?
『まめにご様子を確認する』とか『ケアをする時には注意する』とか抽象的になっていませんか?
それは現場検証の精度が原因かも知れません
今回はそんな事故報告書の書き方に悩んでいる方に向けて、転倒・転落事故が起きた時を例にしたチェックポイントを記事にしました
この記事を見ることで事故が起きた時に見るべきポイントがわかり、事故報告書が断然に書きやすくなると同時に精度も上がります
精度を上げる=事故を減らす事ができます
事故報告書は始末書ではない
再発防止のために存在するのです
それでは、いってみましょー ( ̄^ ̄)ゞ
介護施設における事故報告書とは
ホームで事故が起きると事故報告書を作成し、スタッフ間で事故の内容について検討を行います
それをもとに対応方法の見直しに活用し、事故の再発防止に繋げていく
繰り返します。よく事故報告書を始末書と同じだと考えていらっしゃる方がいますが、そうではありません
事故報告書の目的は
- 事故の内容を職員全体で共有するため
- 事故を分析して再発防止に努めるため
- 職員1人ひとりを守るため
です
そのなかでも再発防止策を立てて、同じ事故を2度と起こさないようにすることが重要
そのためには客観的な視点を持ちながら、他職種と協働で報告書を作成することが求められます
事故を最初に発見したスタッフが事務所やスタッフルームで報告書と睨めっこしながら考えても、それで効果的な再発防止策を立てることができるでしょうか
結局はその場しのぎの抽象的な対応策になってしまいます
では、どのように事故報告書を作成していけばいいのかを見ていきましょう
事故の第一発見者になったら確認すべきポイント
仮にあなたが入居者さんの居室に伺ったらベッドの下で転倒されていたとして、事故の対策を考えるまでの一連の流れを見ていきましょう
看護師に報告したり他のスタッフに応援を依頼しますよね
ご入居者さんに対しては痛みの有無や外傷の確認・バイタル測定などをするでしょう
きっと突然の出来事でパニック状態になっていることと思いますが、ここで確認しておきたいことがあります
①何をしようとされていたのか
・トイレに行こうとされていたのか ・カーテンを閉めようとされていたのか ・タンスの整理をしようとされたのかetc |
その内容によっても対応策が変わってきます
時間が経ってからだと記憶があやふやになってしまう可能性があるので、バイタルを測ったりしながら伺います
もちろん認知症状のある方だとしても
事故報告書には入居者さんの発言をそのまま記述しましょう
②周辺状況の確認
・居室の照明はどうだったのか ・イスが倒れていたとしたら、どちら向きに倒れていたのか ・靴は履いていたかどうか ・布団はどうなっていたか ・ベッドの高さ ・杖や車イスはどこにあったかetc |
これらのチェックは事故報告書を作成する上で重要なポイント
先程その場で入居者さんに確認しないと記憶があやふやになると言いましたが、それはスタッフも同様です
事故を発見して大なり小なりパニック状態になっていて、入居者さんの対応を終えて一息ついて、「さあ、事故報を書くか」という時には記憶があやふやになっています
あれ?靴が脱げていたけど右だっけ?
みたいなことがありませんか
意識して確認しておかないと忘れてしまいます
あやふやな記憶で再発防止策を立てようとすると、ミスリードに繋がります
現場検証なくして再発防止はありえない
引き続き居室での転倒事故があった仮定で話をすすめます
事故報告書を書く上で一番重要なのが現場検証
検証には看護師や理学療法士(PT)など専門職の参加もお願いしたいです
現場検証の手順は
①状況の整理
現場検証とは文字通り、その事故が起きた現場で行います。
これは鉄則!
最後にご様子を確認したのはいつか
転倒前のご様子はどうだったのか。例えば夜21時に転倒されていたとしたら、日中のご様子はどうだったのかを確認します。普段と比べて変化はあったのか、発熱していなかったか、食事量はどうだったのかなどを記録を見て確認します
最終のお通じや排尿があったのはいつか
転倒時の状況
外傷・痛みの有無や転倒時のバイタル(体温・血圧・脈拍・血中酸素濃度)
看護師からは直近で薬の変更の有無や事故につながる副作用があるか、又、既往歴の確認
理学療法士からは入居者さんのADL(日常生活動作)を確認
ご入居者さんの仰られたことを確認
繰り返し転倒されている方であれば、以前の再発防止策がきちんと実行できているのかも確認します
②事故の再現
ここが肝です!
スタッフが転倒時の状況を再現して、そこから逆戻し再生をして、どうやったら転倒時の状況になるかを推測します
逆戻し再生をすることで推測に矛盾がないかがわかるのです
たまに「この推測だとこの場所に内出血できないんじゃない?」みたいな疑問に感じる事故報告書があったりしませんか。それはきちんと現場検証をせずに、自分の頭の中で考えてしまっているからかもしれません
実際に転倒時の状況を再現することで色々な可能性が見えてきます
その中で一番可能性が高いものに絞って他職種で再発防止策を考えていきましょう
③ホーム全体に周知
規模の大きい施設は特にですが、全体に周知できる仕組みはできているでしょうか?
内容にもよりますが再発防止策は転倒された入居者さんだけが同様の事故をなくせれば良いというものではありません
他のフロアやユニットでも同じような事故が起きる可能性がないかを考え、事故が起きる前に対応を考えていく必要があります
「こんな事故があったんだ。怖いなー」で、終わらせていませんか⁉️
④振り返り
対応策を考えたら必ず期日を決めて振り返りの場をもってください。そこで再発防止策が有効だったのかを評価をします
もし何らかの理由で防止策を行えていないのだとしたら、また同様の事故が起きる可能性大・・
やってみたけど上手くいかなかったなんてことは介護の仕事していたらいくらでもあります
大切なのは再発防止策を立てて終わりにせず、ちゃんと経過を確認していくこと
まとめ
発見時の確認ポイント | 再発防止の流れ |
①「何をしようとされたのか」 | ①状況の整理 |
②周辺環境の確認 | ②事故の再現 |
ー | ③ホーム全体に周知 |
ー | ④振り返り |
上記の流れでまとめていけば、事故報告書で記入することはほとんど網羅されているでしょう
確認すべきチェックポイントをリストにして掲示しておけば日の浅いスタッフでも現場検証の精度が上がります
今回は転倒事故が起きたと想定しました
内出血だったり誤嚥・窒息など事故の内容によっては確認するポイントは多少変わってくるでしょうが、基本的にやるべきことは同じです
また事故報告書をわかりやすく書くコツとしては
- 客観的な事実を書く
- 難しい専門用語や略語は使わない
- 要点を整理して簡潔に書く
- 5W1Hで書く
5W1Hて何?
When:いつ
Where:どこで
Who:誰が
What:何を
Why:なぜ
How:どのように
だよ
事故報告書で「何を書けばいいのかわからない」という悩みが減り、皆様のホームで一つでも事故が減ることを願っています
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
よかったら他の記事も見てくれたら嬉しいです❗️
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