入居者さんのケアで一番リスクが高いお手伝いは何かと問われたら、あなたは何と答えるでしょうか❓

入浴介助?
入居者さんが裸になりますし、床で滑るかもしれません。ちょっと目を離した隙に溺れているかもしれません

トイレ介助?
ズボンを下ろした時にバランスを崩したりして、骨折するケースがよくあります

食事介助?
誤嚥性肺炎に繋がったり詰まらせるリスクがあります
私が聞かれたら『服薬介助』と答えます
もし服薬介助を排泄や入浴などのケアと一緒に考えているのであれば、ぜひ読んでいただきたい
人まちがい誤薬は 命・信頼・職場 その全てを一瞬で奪ってしまうかもしれないのです
この記事を見れば服薬方法の見直しに役立つことと思います

服薬の怖さ〜人まちがい誤薬の実例〜

介護施設では薬の管理・内服は介護スタッフや看護師が行っていて、お薬を自己管理される入居者さんはほぼいません
そして入居されている方はほぼ全員なんらかの疾患を抱えていますので、お薬が処方されています
たまに入居者さん同士で病気自慢で盛り上がっていることがありますよね(^∇^)
介護スタッフには安全かつ確実にお薬の与薬を行う大切な役割がある
介護という仕事は失敗の連続ですが服薬介助は決して間違いが許されません
特に人まちがい誤薬は命に関わるリスクがあります
ここで私がいた施設で実際に起きた人まちがい誤薬の実例を紹介します
Aさんは認知症状がありコミュニケーションを取るのは難しい方です 服薬を担当したスタッフは新卒でもうすぐ1年が経ち、ホームでの仕事にも慣れてきました 事故は、そのスタッフが夜勤明けの朝食で起きました その日の早番が寝坊で遅刻・・ 新卒スタッフは真面目な性格で業務が遅れてしまうことに焦りを感じていました その時いたのは新卒スタッフと手伝いにきた夜勤ナースの2人 食事介助が落ち着き、服薬介助へ Aさんに服薬介助をしようとしたのですが、眠気が強かったため一旦あきらめます Bさんの服薬に行こうとすると、Aさんが目を覚ましていました 声かけに対して反応も良かったので、目が覚めてるうちに内服してもらおうと思いました そして、Bさんのお薬をAさんに与薬してしまったのです・・ 少し経ち服薬ケースにAさんのお薬が残っていて、Bさんのお薬がないことで人まちがい誤薬に気付きます 看護師・ホーム長・ご家族様に連絡し、すぐに救急搬送することになりました 搬送中にもAさんの顔色はどんどん青ざめていき、搬送に同行した職員は「もう、ダメかと思った」そうです Bさんは血圧が高く降圧剤を飲んでいました Aさんは普段から血圧が低く、高くても90台前半です つまり血圧が低い方に血圧を下げる薬を与薬してしまったのです 幸いAさんはその日のうちに回復してホームに戻れることができました ただご家族様のホームに対する信頼は一瞬で崩壊 寝坊してしまったスタッフも罪悪感にかられ 誤薬をしてしまったスタッフも泣いてご入居者さんとご家族様に謝罪し、その後退職してしまったのです |

これは私のホームだけの特別な事故でしょうか・・
服薬はその方の命を奪う可能性があるリスクが非常に高いケアです
服薬の間違いは当人はもちろんですが、担当したスタッフも心に大きな傷が残ります
入居者さんを守るためにも、スタッフを守るためにも、服薬方法のルール作りはとても重要なのです
服薬マニュアル作りの8つのポイント
ホームそれぞれで服薬のマニュアルがあるのではないでしょうか
もし何のマニュアルもなく、スタッフそれぞれが好きなように与薬しているのであれば見直したほうがいい

例え事故が起きていなかったとしても、それはたまたまです
マニュアルと聞くと毛嫌いする方もいますが、服薬介助に関してはマニュアルは必要不可欠と私は思っています
皆が統一してお手伝いすることで服薬事故を減らすことができるのです
服薬マニュアルのポイントですが・・
①配薬チェックは2名以上で確認する
薬局から薬が届いたら配薬ケースに薬をセットします
セットは看護師、服薬担当は介護スタッフというのが一般的ではないでしょうか
そのセットを担当した看護師とは別の人が、薬のセットが合っているか確認するようにします。主に入居者の名前と薬が合っているか、タイミング(朝・昼・夕・寝る前)が合っているかなど
人間ですから間違うこともありますから、複数の目で間違いがないかチェックすることが重要
②服薬担当者を決める
これは誰が服薬を担当したのか明確にするという意味もありますが、それ以上に服薬担当者が内服に集中させてあげるのが目的です
食事中に入居者さんが立ち上がってトイレに行こうとされたり、声をかけられたりと言い方が悪いですが服薬介助中でも雑音が多くあります
それが服薬事故につながることが往々にしてある
なので服薬担当者を決めて、それ以外のスタッフが入居者さんの対応をすることで服薬担当者が内服に集中できる環境をつくるのです
③明けのスタッフは服薬をしない
夜勤明けのスタッフが服薬を担当していませんか❓
明けのスタッフは疲労や眠気で判断力が低下しています
朝食の服薬は早番スタッフなどが対応できるように調整しましょう
④新人スタッフに服薬を担当させない
入居者さんのフルネームと顔が完全に一致していない状態で服薬の担当を任せるのは危険です。苗字が一緒の場合もありますから
入居者さんのフルネームと顔が完全に一致していて、服薬マニュアルを理解してから始めるようにしていきましょう
⑤薬の封は本人の前で開封する
お薬の内服時にトロミやお薬飲めたねゼリーを使用することがあります
もし事前に薬の封を開けてトロミをつけてから入居者さんの所に移動しているとしたら、人間違い誤薬のリスクが非常に高くなります
本人の前でお薬の名前とタイミングの印字を読み上げて、可能なら本人にもお薬の封を確認してもらってから与薬をするようにしましょう
⑥内服後は空袋の確認をする
これは飲み忘れ事故を防ぐためです
お薬によっては非常に小さい錠剤タイプもあり、袋に薬が残っていることに気づかず後で残薬チェックをして発見することがあります
内服後に空袋を手でなぞるなどして、お薬が残っていないか確認する癖をつけましょう
⑦服薬マニュアルが守られているか確認する
これらマニュアルがあったとしても、それを全員ができていないと意味がありません
私の経験上では勤務年数が少ないスタッフほどルールを守り、勤務年数が長いスタッフほどマニュアルを省きがちです
服薬マニュアルが守られているか定期的にチェックするようにしましょう
⑧服薬方法の見直し
錠剤だけど嚥下機能が低下していて、粉薬に変更したい
ご自身で内服されているけど、スタッフがお手伝いしたほうがいいのではないかetc
毎月、服薬方法の見直しをできる場を持つようにしていきましょう

まとめ
配薬チェックは2名以上で確認する 服薬担当者を決める 明けのスタッフは服薬をしない 新人スタッフに服薬を担当させない 薬の封は本人の目の前であける 内服後は空袋を確認する 服薬マニュアルが守られているか確認する 服薬方法の見直し |
上記を確実に行えていれば、お薬関連の事故は大幅に削減できると思います
逆にできていない項目があれば、お薬事故が起きる可能性が高くなります

面倒ですか?
繰り返しますが、人まちがい誤薬は命・信頼・職場を一瞬で奪う可能性があります
服薬介助は単なる業務の一つではないのです
出来るところから始めていきましょう
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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