『BPSDに苦慮・・』認知症状のある方に薬物療法(向精神薬)は是か非か!?

介護施設関連
ピョン太
ピョン太

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介護の仕事をしていて認知症状のある方の中核症状やBPSD(行動・心理症状)に悩まされることが多い

施設に入所されている場合だと集団生活になりますから、そこで過ごすことに支障が出ることもしばしばあります

どうやったら課題を解決できるか専門職やご家族と話し合って進めていくと思うのですが、解決に向けての一つの手段として薬物療法(向精神薬)があります

ただ薬物療法にはメリットもありますがデメリットもある

施設の方針であったり、施設長や往診医・ご家族の考えによっても向精神薬との付き合い方は大きく変わります

今回は賛否が分かれることが多い薬物療法について記事にしました。考え方や過去の経験は人それぞれ・・。「私の考えが正しい!」と言うつもりは毛頭ありません

「こういう考えの人もいるんだ」と大目に見ていただけると幸いです

先に私の考えをお伝えしておくと

薬物療法は必要!!ただし、その前にやれることはやるです

クリックジョブ介護

中核症状とBPSD

まず始めに認知症について振り返っておきたいと思います

認知症の症状は中核症状と行動・心理症状(BPSD)の二つに分かれます

中核症状

見当識障害

日付や時間、季節、場所、人物などがわからなくなる

記憶障害

長期記憶は比較的保たれるが、短期記憶が低下する

実行機能障害

物事を計画立てて行うことができなくなる

失語・失行・失認の障害

意思疎通が難しくなったり、簡単な動作を行えなくなる。物は見えてはいるがそれが何かを認識できない

理解・判断力の低下

物事の理解に時間がかかり適切な判断が難しくなる

行動・心理症状(BPSD)

上記の中核症状に環境や性格、その時の心理状態が絡みあうことでBPSDをきたします

主には

攻撃的な言動

不安や焦燥感

介護抵抗

うつ状態

睡眠障害

幻覚

妄想

生活動作の失敗

介護の仕事をしていて対応に苦慮するのは中核症状よりもBPSDのほうが多いと思います

認知症薬と向精神薬の種類と副作用

2022年6月時点で脳の神経細胞を再生させたりする薬はまだなく、根本的に認知症の進行を止める薬はありません

ただ日常生活で活気が出たりイライラや不安な気持ちを軽減させることは期待できます

主な認知症薬

商品名ドネペジル
(アリセプト)
ガランタミン
(レミニール)
リバスチグミン
(リバスタッチ)
メマンチン
(メマリー)
形態錠剤・粉・ゼリー錠剤・内服液貼り薬錠剤
副作用下痢・吐き気下痢・吐き気かぶれ・かゆみめまい・便秘
備考レビー小体型認知症
の適応あり

次にBPSDの症状に応じては抗精神病薬や抗うつ剤、抗不安薬、睡眠薬などが処方されることがあります

抗精神病薬

幻覚や妄想・興奮などの症状が対象

薬剤:リスペリドン、クエチアピンetc

抗うつ薬

抑うつ・不安感などの症状が対象

薬剤:フルボキサミン、パロキセチンetc

抗不安薬

不安やイライラなどの症状が対象

薬剤:ロラゼパム、オキサゼパム

睡眠薬

早期覚醒・中途覚醒などの症状が対象

薬剤:ゾルピデム、ゾピクロンetc

これらのいわゆる向精神薬の副作用としては

眠気
ふらつき
食欲不振
便秘etc

私の体験談

私自身も入居者さんの暴言・暴力を始めBPSDには悩まされてきました

叩かれるとかも嫌ですが、ツバをかけてきたり毎回「おい、乞食(こじき)」と呼ばれたりとか精神的にくるほうが私には辛い・・

他にも

内服や食事や入浴を拒否される

帰宅願望

転倒リスクが高い方のひとり歩き

夜ほとんど寝ない

誤入室などなど

あげたらキリがない

その方との関わりに多くの時間を割かれ、他の入居者さんへの時間が減ってしまい必要最低限のことしかできなくなる

他の入居者さんの居室に入ってしまったり、他の入居者さんを物取られの加害者にしてしまい人間関係が破綻してしまうことも

私は認知症状のある方に対して薬物療法精神薬は必要だと考えています

他の入居者さんにも不利益が起きていたり、ましてや食事やお薬の拒否が続けばその方の生命に関わります

介護をしていて『どうにもならない』状況はあるんです

ただ・・!!

薬の怖さも見てきました

中途半端に薬が効いてフラフラで歩かれて返って転倒リスクが悪化したり、逆に効きすぎて昼間でもトローンとした意識状態で立位動作もままならないご様子になってしまったり・・

安易に始めると入居者さんを『寝かせきり』にするリスクがありますし、BPSDに困ったら「もう薬しかないよ」みたいに思考がストップしてしまうリスクもある

まずは

なぜスタッフに暴力を振るうのか

暴力を振るわれないスタッフがいるのなら、その違いは何か?

男性と女性ではどうか

時間帯に規則性はあるか

便秘との関連は

どういう声かけだと良くて、どういう声かけをすると怒ってしまわれるのか

昔の趣味はetc

専門職と一緒に振り返ってみるべきポイントはたくさんあります

センター方式を活用すれば入居者さんとの関わり方の見直しもしやすくなる

私は薬物療法は必要とは考えていますが、まずは非薬物療法での対応を優先すべきだと思います

とはいえ非薬物療法にこだわりすぎるのも良くない

以前いた施設長はいわゆるキラキラ施設長で薬物療法は絶対NO!だった

とある入居者さんはスタッフへの暴力は日常茶飯事

「うるさい」「何、こっち見てんだ」「ばかやろー」という怒鳴り声が終日続き、他の入居者さんにも悪影響が出る状況

色々試してみるも効果はなく、打ち手を見出せなくなる

そんな状況でもキラキラ施設長は「大きな声を出すというのも、その人らしさ。薬に頼らず、その人らしさを尊重しよう」とのこと

怒鳴り声を終日続けるその人らしさってなんだよ!?

事務所から出てきて、現場を見にこい💢

ずっと大きな声を出して怒り続けるなんて辛いでしょ・・

ましてや、それがその人らしさではない

そこにいるスタッフや他の入居者さんもノイローゼ状態ですよ・・

新しいロジハラか!?

こういう状況でこそ向精神薬に頼るのは良いと私は思うのです

最初から向精神薬の可能性を排除するのは、それはそれでどうかと思ってしまいます

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最後に

私個人の考えをまとめると

認知症状のある方に薬物療法(向精神薬)は必要である。ただし、その前にアセスメントやセンター方式などを活用して専門職と相談しながらお手伝い方法の見直しをして実行する

お手伝い方法の変更→実行→評価を繰り返して、それでも改善の糸口を掴めないのであれば向精神薬の力を借りることは悪いことではないと私は思います

介護をしていて『どうにもならない』状況はありますから

薬物的アプローチと非薬物的アプローチをうまく組み合わせることで、その方が日々を穏やかに過ごせるようになるのではないでしょうか

薬物療法は施設によっても個人によっても考えは人それぞれ

この記事を読んで下さったあなたは、どのように考えているでしょうか・・

最後まで読んでいただき、ありがとうございました

よかったら他の記事も読んでくれたら嬉しいです❗️

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